英国(イギリス)で日本の発酵食品が伸びている|みそ輸出22%増の背景と、輸出前に確認する表示・規制

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この記事でわかること

  • 英国向けのみそ・しょうゆ輸出がどれくらい伸びているか(農林水産省・JETROの公表値)
  • 英国の店頭で日本の発酵食品が売れている理由
  • 発酵食品を英国へ輸出するときに引っかかりやすい表示・原料のルール
  • みそ・しょうゆ・甘酒など商品別に、輸出前に確認すること
  • 英国のバイヤーと会う場として、ロンドンの食品見本市IFE 2027をどう使うか

要点まとめ:英国向けのみその輸出額は2025年に3億7,750万円(前年比22.2%増)となり、2022年から約2.1倍に増えました。2026年10月には、日本から英国へのみそ・しょうゆの輸出が2026年1〜8月に前年同期比2割増えたと報じられ、見出しには甘酒の名前も挙がっています。ただし、英国は表示やアレルゲン、着色料、動物性原料の扱いが日本と違うため、日本で売っている商品をそのまま出せるとは限りません。売り込む前に商品ごとに「英国で出せるか」を確かめ、そのうえで英国の輸入者・バイヤーと直接話せる場を確保するのが近道です。

木べらに盛ったみそ
Photo: publicdomainq.net / Wikimedia Commons (CC0)

数字で見る:英国向けのみそ・しょうゆ輸出

2025年の日本から英国へのみその輸出額は3億7,750万円、輸出量は1,666トンでした。英国は日本のみその輸出先として、金額で3位、数量で2位です(JETRO(2026年10月))。

さらに2026年10月31日の日経電子版(日経MJ)は、2026年1〜8月の日本から英国へのみそ・しょうゆの輸出が前年同期比で2割増えたと報じました(日経電子版。英国向けの2026年の品目別の数値は、農林水産省の公表資料では確認できていません)。この伸びは今年だけの話ではなく、農林水産省とJETROの公表値をさかのぼると、英国向けのみそは数年にわたって伸び続けています。

項目数値出典
英国向けみその輸出額(2022年)1億8,100万円JETRO 輸出品目別レポート(みそ)
英国向けみその輸出額(2025年)3億7,750万円(前年比22.2%増)・1,666トン農林水産省・JETRO(2026年10月)
英国の順位(みそ・2025年)金額で3位(米国・オランダに次ぐ)、数量で2位(米国に次ぐ)JETRO(2026年10月)
英国向けしょうゆの輸出額(2025年)約8億円(英国向け品目の6位)農林水産省
英国向け農林水産物・食品の輸出額(2025年)177億円(前年比34.3%増)農林水産省
(参考)みその輸出額・英国以外も含む全世界(2026年1〜8月)55億7,400万円(前年同期比18.0%増)農林水産省

英国向けのみそは2022年の1億8,100万円から2025年の3億7,750万円へ、3年で約2.1倍になりました(JETROのレポートと農林水産省の公表値から当サイトで計算。資料が異なるため目安です)。なお、甘酒や漬物は農林水産省の輸出実績に独立した品目がなく、英国向けの金額を特定できません。

英国で売れている理由:健康志向と「家で作る和食」

英国の高級スーパー大手は2026年9月、自社のみそペーストの売上が前年比41%増、みその小袋が直近6か月で94%増、自社サイトでの「miso」の検索が前年比457%増になったと発表しました(英国の業界紙Grocery Gazetteの報道による。英国市場全体ではなく1社の数字です)。同じサイトでの「miso recipes(みそのレシピ)」の検索も245%増えており、みそを買って家庭で料理に使う人が増えていることがうかがえます。

背景にあるのは健康志向です。JETROは市場の動きとして、英国で超加工食品を避け、原材料の少ない「クリーンラベル」の食品を選ぶ人が増えていると報告し、発酵食品が多い和食の調味料がその流れに乗って広がる可能性を指摘しています(JETRO(2026年6月))。英国の日本食レストランも2025年時点で約1,820店と、2023年から約560店増えました(農林水産省)。外食で日本の味に触れる機会が増えていることも、家庭での需要の背景と考えられます。

食品見本市の現場でも同じ傾向が見えます。ロンドンの食品見本市IFEの主催者は、2026年回のスタートアップ出展エリアに、業界の流れとして「発酵」「腸の健康」をうたう商品が並んだと総括しています(IFE公式)。IFE公式サイトに掲載された外部の専門家によるトレンド講演の記事(2025年)でも、みそ・抹茶・しそをインドやメキシコなど他国の料理と組み合わせる「Japanese Fusion」が挙げられています(IFE公式サイト)。

英国へ出す前に確認すること:発酵食品で引っかかりやすい5点

英国は2020年1月にEUを離脱し、移行期間が終わった2021年からは、EUから引き継いだ食品のルールを英国独自に改正しながら運用しています。日本向けの商品をそのまま出せるとは限らないため、輸出を考える段階で次の5点を確認してください(グレートブリテン=イングランド・スコットランド・ウェールズ向けの場合。北アイルランドは一部でEUのルールが適用されるなど制度が異なります)。

1. 英語表示と英国内の事業者住所

表示は英語で行うのが基本で、2024年1月1日からは英国内の事業者の名称・住所の表示が必要です。日本のメーカーが直接出す場合は、英国の輸入者の住所を載せることになります(gov.uk・JETRO(2023年6月時点))。英国側の輸入者・卸が決まっていないと、店頭に並ぶ形の商品は作れません。

2. アレルゲン14品目の強調表示

英国では14品目のアレルゲンを、原材料表示の中で太字・色・背景色などを使って他の原材料と区別できるように示す必要があります(gov.uk)。みそ・しょうゆは大豆、しょうゆは小麦、麦みそは大麦(小麦・大麦は「グルテンを含む穀物」)が該当し、かつお節など魚由来の原料を使った商品は魚も該当します。

3. 遺伝子組換え原料の表示

日本では表示が要らないしょうゆでも、英国では遺伝子組換え原料を使っていれば表示が必要です(JETRO(2023年6月時点))。ただし、意図せず、または技術的に避けられずに混入したもので、原材料ごとに0.9%以下であれば表示は不要です。この場合も、混入を避ける措置を取った証拠を示せることが前提です(英国の遺伝子組換え食品規則 第12条)。大豆・小麦の調達先と、分別管理の証明書があるかを確認しておきましょう。

4. 添加物と着色料

使える添加物は英国の承認リストにあるものだけで、食品の種類ごとに使える量や条件も決まっています。表示はE番号か物質名で行います(gov.uk 承認添加物とE番号(2026年6月))。クチナシ・ベニバナ・紅麹の色素は、英国で承認された着色料(添加物)の一覧に入っていません(JETRO(2023年6月時点)も同じ趣旨)。原材料そのものを色付けに使う「着色食品」として扱えるかは製法によって変わるため、漬物や加工品で色素を使っている場合は個別に確認が必要です。

5. 肉・乳・魚介などの動物性原料

混合食品(Composite products)とは、植物性の原料と、加工した動物性の原料(乳製品・肉製品・魚介製品など)の両方を含む食品のことです(gov.uk)。英国へ輸入できるかは、動物性原料の種類・加工の状態・配合の割合・原料の原産国・製造施設によって変わります。

現状では、JETROは、日本国内で加工した肉製品や乳製品を原料にする混合食品について、日本に英国・EUの認定を受けた施設がないため、英国向けに輸出する体制が整っていないとしています(JETRO(2024年8月時点))。また、2024年11月に日本で牛のランピースキン病(牛の感染症)が確認されたため、英国は日本からの生乳・生乳製品などの輸入を止めています(2025年8月12日からの現行措置。gov.uk(2026年10月更新))。肉・乳を含む商品は、輸出を考える前に最新の状況を確認してください。かつお節など魚介由来の原料を含むだし入りみそも、魚介原料の種類・加工の状態・配合の割合を出荷前に個別に確認してください。

関税については、しょうゆや日本酒は日英EPA(経済連携協定)の原産地の条件を満たし、原産地の申告を行えば0%になります(JETRO・JETRO)。品目ごとに条件が違うため、商品ごとに確認してください。規制は改定されることがあるため、実際の輸出時は必ず最新の情報を確認してください。

商品別:英国へ出す前のチェック表

上の5点を、発酵食品の商品ごとにまとめると次のとおりです。アレルゲンは代表的な原料の場合で、実際は配合によって変わります。

商品主なアレルゲン(14品目)特に確認すること
米みそ大豆遺伝子組換え原料の表示(大豆の調達先)、添加物(酒精・調味料など)、英語表示と輸入者の住所
麦みそ大豆・大麦(グルテンを含む穀物)米みその確認事項に加えて、大麦の強調表示
しょうゆ大豆・小麦(グルテンを含む穀物)遺伝子組換え原料の表示、日英EPAの原産地の条件(関税0%にできるか)
だし入りみそ大豆・魚(かつお節など)混合食品に当たるか(魚介原料の種類・加工の状態・配合の割合)
甘酒原料による(米と米こうじだけなら該当なし)アルコール分(1.2%を超える飲料はアルコール度数の表示が必要)、飲料か食品か・関税上の分類
漬物原料・調味液による着色料(クチナシ・紅麹など)が英国で使えるか、添加物の使用条件

IFE 2027(2027年4月)での商談を目指すなら、今から次の順で準備すると間に合います。

  • 商品の棚卸し:みそ・しょうゆ・酢・漬物・甘酒など候補の商品ごとに、アレルゲン・添加物(着色料)・動物性原料・アルコール分を一覧にする
  • 区分の確認:判断に迷う商品は、JETROの輸出相談窓口などで英国での扱いを確認する
  • 英国向けの表示案づくり:英語の表示案を用意し、見本市で輸入者・卸に見せて話を進められるようにする

英国のバイヤーと会う場:ロンドンの食品見本市IFE 2027

IFEの会場となるロンドンのExCeL London外観
Photo: delegateconnectimages / Wikimedia Commons (CC BY 2.0)

商品を英国向けに整えたら、次は買い手探しです。前述のとおり英国の店頭に並べるには英国内の輸入者の住所表示が必要なため、まず組む輸入者・卸を見つけることになります。その担当者が一度に集まるのが食品見本市です。IFE(International Food & Drink Event)は2027年4月5日(月)〜7日(水)にロンドンのExCeL Londonで開かれる、英国を代表する食品・飲料の見本市です(最終日は16時まで。IFE公式「When & Where」・JETRO)。来場者の中心は小売、卸・輸出入、外食のバイヤーです(IFE公式「Event Sections」)。

出品の区分には「Health, Organic & Natural(健康・オーガニック・自然食品)」や各国のパビリオンがあり、発酵食品の健康面を打ち出したい商品と相性のよい構成です(IFE公式)。JETROの報告では、2026年回には日本企業11社が出展しています(JETRO(2026年4月))。

発酵食品で出展する場合は、次のように準備すると商談につながりやすくなります。

  • 英国の表示ルールを満たした商品か、満たせる見込みの商品に絞って並べる(「この商品はすぐ出せます」と言える商品が商談の起点になります)
  • 食べ方を一緒に見せる(みそドレッシング、みそバター、しょうゆを使った洋食など。英国のスーパーでは「miso recipes」の検索が大きく伸びており、使い方の提案が購入のきっかけになります)
  • パッケージ型のブースで小さく始める(装飾込みの区画を選べば、現地で施工会社を別に手配する手間を抑えられます。含まれる装飾・備品は契約内容で確認してください)
  • 試食用のサンプルは早めに段取りする(展示用・試食用でも、商用サンプルは税関申告の対象になることがあり、食品の輸入条件も適用されます。だし・乳・アルコールを含む商品は別の扱いになる場合があるため、量と送り方を事前に確認してください)

会期・出展料・来場者データの詳細は、IFE 2027の出展案内ページにまとめています。

よくある質問

英国向けの発酵食品の輸出は本当に伸びていますか?

伸びています。英国向けのみその輸出額は2022年の1億8,100万円から2025年は3億7,750万円(前年比22.2%増)になり、金額で米国・オランダに次ぐ3位でした(農林水産省・JETRO)。2026年1〜8月もみそ・しょうゆの英国向け輸出が前年同期比2割増と報じられています。

甘酒も英国で売れていますか?

2026年10月の報道の見出しに甘酒の名前が挙がっていますが、甘酒は農林水産省の輸出実績に独立した品目がなく、英国向けの金額を特定できません。アルコール分が1.2%を超える飲料はアルコール度数の表示が必要になるなど、扱いが変わるため商品ごとに確認が必要です。

日本で売っているみそをそのまま英国に出せますか?

そのままでは出せないことが多いです。英語表示、英国内の輸入者の住所、14品目のアレルゲンの強調表示、遺伝子組換え原料の表示などが必要です。かつおだしなど動物性原料を含む商品は混合食品として別の規制がかかる場合があります。

だし入りみそは英国に輸出できますか?

商品によります。かつお節など魚介由来の原料を含むと混合食品に当たる場合があり、魚介原料の種類・加工の状態・配合の割合で輸入条件が変わります。出荷前に英国政府の最新の輸入条件で個別に確認してください。

英国向けのしょうゆに関税はかかりますか?

日英EPAの原産地の条件を満たし、原産地の申告を行えば関税は0%です。条件を満たさない場合は通常の関税がかかるため、原料の産地と製造工程を確認してください。

英国に現地法人がなくても見本市に出展できますか?

出展できます。装飾込みのパッケージ型のブースを選べば、現地で施工会社を別に手配する手間を抑えられます。出展の申込手続きは主催者と英語で行いますが、出展に関するご相談は日本語で承ります。

IFE 2027に試食用のサンプルを持ち込めますか?

持ち込めますが、商用サンプルは税関申告の対象になることがあり、食品の輸入条件も適用されます。だし・乳・アルコールを含む商品は別の扱いになる場合があるため、量と送り方を事前に確認してください。

IFE 2027はいつ、どこで開かれますか?

2027年4月5日(月)〜7日(水)に、ロンドンのExCeL Londonで開かれます。出展料・申込方法は、当サイトのIFE 2027出展案内ページで案内しています。

英国への出展をご検討の方へ

我々は、IFE 2027(英国)・SIGEP World 2027(イタリア)・SIGEP Asia 2027・Vietfood & Beverage 2027(ベトナム)の出展取次ぎを行っています。英国向けにどの商品から出すか、ブースの大きさと費用の目安、補助金の使い方など、出展に関するご相談は日本語で承ります。

主な情報源

執筆・監修:株式会社すけっと(山澤)・合同会社International Linkage(竹生)

※本記事の数値・規制は2026年11月2日に各公式サイトで確認した内容です。輸出規制・統計は更新されるため、実際の輸出・出展の際は必ず農林水産省・JETRO・英国政府・主催者の最新情報をご確認ください。